相続対策のためにサブリースによるアパート建築は、有効か？

賃貸経営は、アパート建築を行って、賃貸収入を得るという

事業です。

事業である限り、当然にリスクを背負うことになります。

賃貸経営の場合、そのリスクとは、

『空室になる』『空室ができる』と

いうことで、空室によって、売り上げである賃貸収入が

減少するという仕組みになっています。

何かしらの商品を製造して販売する場合、

その商品が本当に売れるかどうかをかなり吟味して、

その商品を製造するものと思います。

ましてや、数千万円から数億円の投資を伴うものであれば、尚更です。

一人のお客さんが来て、

『この商品を３０年間、同じ値段で買い続けますから、

１億円の設備投資をして、商品を作ってください。』といわれて、

闇雲に、商品制作に手を出す人はいないと思います。

ケースを変えて考えると、サブリースというのは、

これと同じことなのです。

『３０年間同じ価格で商品を買い続ける。』ということは、

あり得ないことです。

途中で価格が変動することも当然、起こり得るし、

最悪の場合、買主が倒産してしまうということも、

リスクとして考えておかなければなりません。

アパート経営でも、同じことが起こるわけです。

『不動産業者は、倒産するリスクは少ない』と

いわれる業種です。

鳥取市内においても、不動産業者で倒産した会社は

あまりありません。

これは、業種的に手形などの取り扱いも少なく、

基本的には現金収入であり、また、売上げは、手数料収入で、

仕入れが発生しないからであると考えられます。

しかし、サブリースを行う場合には、毎月必ず保証賃料を

支払わなければならないという債務を負い、

ケースによっては、その賃貸収入よりも多くの

保証賃料を支払わなければならないという事態も発生します。

そうなると、資金繰りがショートして不動産会社が

倒産するということも起こり得るものとなります。

前回、記載したような十分な保証料を取っていたとしても、

倒産のリスクはついてきます。

アパートの不足している時代であれば、サブリースは

成り立つかもしれません。

しかし、都市から地方に至るまで、

アパートは供給過剰になっています。

そのような時代の中で、サブリースによる一括借り上げは

成り立たなくなってきているのです。

 相続対策のためにサブリースによるアパート建築は、有効か？

相続対策として、空き地にアパートを建築するということは、

税法上はかなり効果があると考えられます。

少なくとも、アパートの建築された土地の相続税評価は

下がりますし、アパートの建築にともなう

金融機関からの借り入れにより、負の財産を

生じさせることができます。

先日、相続の関係でアパートを建築した方の決算書等を

拝見しましたが、アパートの総工費１億円に対し、

建物の固定資産評価学が４千万円程度であったので、

この差額分が、単純に相続評価減になったといえると思います。

遺留分減殺請求に伴うアパートの価格査定でしたので、

このアパートの実勢価格の算出を行いました。

アパートの価格査定においては、取引事例法と収益還元法を

加味して算出します。

この方法で算出した場合、査定価格が６千万円程度になりました。

もともと、土地があったのにも関わらず、１億円の投資を行って、

数年後に売却するとしたら、大幅に投資額を下回ってしまうという

事態に陥っているということです。

なぜこのような状況になるかというと、アパートという

建物に対する投資額が大きすぎるからです。

換言すると、『建築費が高い。』ということです。

建物投資に対して、収益となる賃料が少ないので、

実勢価格が下がるという結果が生じてしまいます。

アパートなどの物件を売買する場合には、収益還元法により、

実質利回りが重要な要素になってきます。

収益物件の売却資料には、表面利回りが記載されていることも

多く見受けられます。

表面利回りでも、購入後の収支やキャッシュフローを考える上で

十分に参考になります。

アパートなどの収益物件については、その土地や建物の

実勢価格よりも、収益性にポイントを置かれることが多く、

収益性の悪い収益物件は売却が困難で、結局のところは

売却価格を下げざるを得ないということになってしまいます。

この査定したケースでは、実際に売却する必要がないとは思いますが

いざ売却しようと思っても、元手は戻らないということが

明白になりました。

やはり、サブリースは、オーナーにとっては・・・・

ということになるわけです。

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